St.Valentine Day



「やあ、アルベルト」
「うむ。……ん? 何だ、その両手の紙袋は?」
「ああ、これ? バレンタインデーのチョコだよ」
「ほう……。ずいぶんモテるようだな」
「たぶん、半分くらいは義理だろうけどね」
「ふん。なら半分は『本命』というわけか……」
「まあ、そういうことになるかな……。で、君はいくつ貰ったの?」
「ひとつだが」
「えええええええ!?」
「何をそんなに驚く?」
「だって……君、『衝撃のアルベルト』だよ『十傑集』なんだよ」
「そんなことはわかっておる」
「そんなみんなの羨望の的の君が……一個だけなんて……君って……そんなにモテないの?」
「何を言うか! 無礼なっ! 『くれる』と言うのを断ったのだっ」
「なんで? そんな……もったいない……」
「『義理』は断ることにしておる。まったく、菓子会社に踊らされおって……けしからん風習だ」
「そうなんだ……え? ってことは、私以外の誰かから『本命』を貰ったってことだ…よね……ああ、ホルスタインか……」
「その呼び方にはひっかかるが、そうだ」
「そっか……『本命』なら貰ってくれるんだよね。じゃ、これ。君への『大本命チョコ』」
「断る」
「ええええええ!? なんでー!?」
「残念だが『本命』と言うからには一人からしかもらえんからな」
「そんな……義理堅い……っていうか、ボクの方が『本命』の気持ちは強いのに!!」
「そういう問題ではない。仕方がないのだ。あれの方が先に渡してきたのだからな」
「えーーーっ!? 『早い者勝ち』? それこそ『そういう問題』? こっちは超一流のショコラティエに作らせた高級チョコなのに?」
「貴様の負けだな。諦めろ。あれは『手作り』だ」
「がーん!! ちくしょー! いいよ。もう。この貰ったチョコ全部使ってチョコフォンデュしようと思ってたのに……君なんか誘うもんか! 一人で食べて腹壊してやるぅ〜。アルベルトのバカ〜〜〜」




【コメント】
盟友萌え友達とメールで送り合った「バレンタインネタ」をサルベージしました。
メールだけに留めておくのがもったいなくて……。
アニバーサリーものはシーズンオフに読むと変な感じかも……と思いましたが敢えて採用。
お楽しみいただけると幸いです。



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